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MS明朝でLaTeXする話(Mac編)

written by 優曇華院

経緯

学校のレポートでMS明朝が指定フォントとなっていました.おそらくOfiice Wordで作ることを想定していたのでしょうが,TeX勢からするとWordはアレなので使いたくない.ということで,LaTeXでMS明朝をぶち込む方法を紹介します.

概要

 そもそも,LaTeXでは,hoge.texをTeXが(LaTeXマクロを使ったりしながら)hoge.dviに変換します.この過程はdevice-independentなファイルを作るので,特にフォント云々の話は一切ありません.実はTeXが作業をするのはここまでです.この後,dvipdfmxがhoge.dviをhoge.pdfに変換します.この時,pdfへのフォントの埋め込みが行われます.それ故,今回の作業はLaTeXと言うよりもdvipdfmxの設定になります.

 dvipdfmxはTeXディストリビューションの中のhoge.mapと言うマップファイルに従ってフォントを埋め込みます.と言うことで,まずはマップファイルを作成します.そして,TeXディストリビューションの適切な場所にMSフォントのシンボリックリンクを貼ります(dvipdfmxはmacのライブラリからフォントを見つけることはできない).

マップファイル

まずはマップファイルを作成します(なお今回は必要最低限のマップです).ターミナルでマップを置くディレクトリを作ります.

mkdir /usr/local/texlive/texmf-local/fonts/map/dvipdfmx/ms
cd /usr/local/texlive/texmf-local/fonts/map/dvipdfmx/ms
touch ptex-ms.map
open ptex-ms.map

でptex-ms.mapの編集を開始します.ptex-ms.mapの中身は

rml          H               :0:msmincho.ttc
rmlv         V               :0:msmincho.ttc
gbm          H               :0:msgothic.ttc
gbmv         V               :0:msgothic.ttc

とします.これでマップファイルの設定は終わりです.

フォントのシンボリックリンク

 次にフォントのシンボリックリンクを貼ります.ですがそもそも,macにはMS明朝が入っていません.WordとかOffice系のアプリを持っている場合は

open /Applications/Microsoft\ Word.app/Contents/Resources/Fonts

でWordのフォントフォルダを開きます.(もし見つからない場合は,ファインダーでcmd+shift+Aでアプリケーションフォルダを開いて,wordを右クリック,「パッケージの内容を表示」を選択して,Contents/Resources/Fontsを開きます.Wordを持ってない場合は大人しくMSフォントを購入しましょう.ネットからタダでダウンロードできるみたいな話もあるそうですがやめときましょう.)これを,デスクトップか何かに作ったフォルダにフォントファイルを全てコピペします.(この時点でライセンス的にアレなのかもしれないが,Wordを買うのにライセンス料を払っていること,個人目的での使用であることから多分大丈夫.詳しい方は教えてください.)Fontbookを開いて,cmd+oで先程フォントを突っ込んだフォルダを選択して,フォントを追加します.これでMacのライブラリにフォントが入ったので,TeXディストリビューションにシンボリックリンクを貼ります.(場合によってはFonts/MoreJFonts/にmsmincho.ttcが入っている場合がある.)

mkdir /usr/local/texlive/texmf-local/fonts/truetype/ms
sudo ln -s ~/Library/Fonts/msmincho.ttc /usr/local/texlive/texmf-local/fonts/truetype/ms/msmincho.ttc
sudo ln -s ~/Library/Fonts/msgothic.ttc /usr/local/texlive/texmf-local/fonts/truetype/ms/msgothic.ttc

後はdvipdfmxで先程設置したマップファイルptex-ms.mapを使える様に設定します.

sudo mktexlsr
sudo updmap-sys --setoption kanjiEmbed ms
sudo mktexlsr

これでupdmap系のコマンドでptex-ms.mapを認識できる様になりました.一応,確認のために

sudo kanji-config-updmap-sys ms
sudo kanji-config-updmap-sys status

CURRENT family for ja: msになっているか確認してください.これでdvipdfmxの設定は終わりです.思う存分,クソダサMS明朝でLaTeXしてください.ちなみに,LaTeXで組版するとMS明朝でも意外と悪くない.やっぱりWordがアレ.